2006年06月24日

茨の道を歩け

3試合を戦って0勝1分2敗の勝点1、得点2失点7の-5という成績で、黄金世代を擁する日本の4年間は幕を閉じることになった。結果はともかく、年齢的には最盛期であるはずの黄金世代を擁す日本が、内容的にも全く世界にアピールすることなく終わってしまったというのは少なからずショックだ。コンフェデ杯などいくつかの試合で見せた、「日本もこういうサッカーをするんですよ」と胸を張れるサッカーはついに見られなかった。ボランチどころか2列目までが守備に忙殺され、DFラインは常に押し込まれ、ろくに攻撃もできない。ブラジルにはまるで子供相手のボール遊びをされているような屈辱的な試合。中田と中村の涙は世界との差が高くそびえ立つ壁のように目の前に具現化した絶望と、日本のポテンシャルを全く発揮できなかった自らへの悔恨を孕んでいたに違いない。

決定力不足、戦術の無さ、どういうサッカーをするというビジョンの曖昧さ、監督の経験不足、すべてこの3試合に始まったことではない。ただ要所要所で結果だけは出ていたからすべての疑念は不問に処され、先送りにしてしまっていた。そのツケがすべてここで出てしまった。要はチームマネージメントのミスだ。この4年間でアジアで負けないチームを作ることはできたが、本物のW杯(2002年とは大きな差がある)を戦えるチームを作ることはできなかった。アジア予選突破を決めた翌日、中田が言った「このチームにW杯を勝ち抜く力はまだない」という言葉、あれがすべてを物語っていたのだ。W杯を戦うにはあれから更に階段を上る必要があったが、それが叶わなかった。

4年後のことを思うと事情はさらに困難だ。02年そして今回と黄金世代を中心に戦ってきたが次は世代交代を迫られる。アテネ五輪メンバーからドイツの地に立ったのは駒野と茂庭の2人だけ、それ以前にまともな局面で使われたと言えるのも阿部と大久保ぐらい。選手選考だけでなく、サッカーの中身も、この4年間、A代表とユース・五輪代表は全く乖離して存在していた。99ワールドユース、00シドニー五輪、アジアカップを経てスムーズに世代交代を遂行した02年とは違う。このことがまたツケとして具現化してしまわないか、いささか不安だ。

さらに次回大会ではアジアのW杯出場枠は削られるかもしれない。そして他ならぬあのオーストラリアがアジア枠にやってくる(というかすでにアジアカップ予選を戦っているけど)。オーストラリアのAFC編入はどうにもクエスチョンマークだったし今でも違和感があるのだけど(どう考えてもアジアじゃないしね)、まあいいことなのかもしれない。やはりバーレーンや北朝鮮あたりと4チームで予選をやって、上位2位どころか3位にまでチャンスがあるような温い予選をやっていては駄目なのだ。

日本は10数年前と比べてとても強くなっている。アジアでは王者として幅を利かせられるようになったし、出場すら出来なかった五輪やワールドユースの常連にもなりつつある。アウェイのW杯でも欧州を相手に勝ち点を取った。しかし、02W杯の数々の波乱、ユーロ04のギリシャの優勝、アジア予選やアジアカップで日本を苦しめたオマーンやバーレーンやヨルダンの台頭、本命がことごとく敗れ去ったアフリカ予選の大波乱、そして今大会のコートジボワールやガーナの活躍などを見ても、世界はもっと強くなっている。世界中を巻き込んだサバイバルレースの中に、日本もいるのだ。

日本は強くなっているが、世界はもっと速いスピードで強くなっている。4年の時間を曖昧に、漫然と浪費すればきっちり4年分遅れていく。そのことを認識して、日本サッカーの総体としてきちんと将来に繋がるビジョンを持たなければ、世界との差を詰めるどころか、アジアでの現在の地位すら簡単に失ってしまうのではないだろうか。目先の4年を目指すのは監督の仕事、もっと先を見据えるのが協会の仕事だ。右肩上がりに実績を積み上げてきたところに、冷や水を浴びせられた今大会の結果だが、これで尻に火がついて将来の糧にならなければ、報われない。

もちろん悪いことばかりではなかった。アジアカップの連覇、そして3度目のW杯出場。これは確実に歴史に残るのだ。いろいろ入り混じる思いはあるものの、やっぱりジーコにはありがとう、お疲れさまでしたと言いたい。ジャマイカ戦の映像と比べたら、髪の毛もずいぶん減ってしまった。

W杯でサッカーが終わるわけじゃない。16強に行けなかったからいちいち終わっていたらサッカーなど見ていられない。16強どころか、W杯に毎回出られる国すら世界でほんの一握りしかないのだ。どんな強豪国でも必ず挫折を味わっている。一度挫折したからといって、停滞したからといって終わってしまうのならそれは文化ではない。そういう意味でも日本はまだまだこれからなのだ。伸びしろはある。舵取りを間違ってはいけない。次はどんな代表が見られるのだろう。わくわくする。目の前には茨の道。サッカーは続いていく。
posted by TSU-KA at 17:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 蹴球 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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